-
ベランダに置いた段ボールも安全ではない
家の中に段ボールを置くのは危険だからと、ベランダやバルコニーに一時的に保管している家庭は多いでしょう。確かに、家の中へのゴキブリの侵入リスクを直接的に下げる効果は期待できます。しかし、「ベランダに置いておけば絶対に安全」と考えるのは、少し早計かもしれません。屋外であっても、段ボールは依然としてゴキブリにとって魅力的な存在であり、新たな問題を引き起こす可能性があるのです。まず、ベランダは外部からゴキブリが飛来したり、壁を伝って登ってきたりすることが容易な場所です。そこに段ボールが置いてあれば、彼らはそれを格好の休憩場所や隠れ家として利用します。特に、雨に濡れて湿った段ボールは、彼らにとってさらに魅力的なオブジェクトに変わります。そこで休息したゴキブリが、あなたが窓を開けた一瞬の隙に、室内に侵入してくるというリスクが生まれます。つまり、ベランダの段ボールが、ゴキブリを家の近くまでおびき寄せる「おとり」のような役割を果たしてしまうのです。さらに、ベランダでゴキブリが段ボールに卵を産み付けてしまう可能性も考えられます。その段ボールを、後で何かに再利用しようと家の中に取り込んだり、あるいはゴミに出すために一旦室内に持ち込んだりした際に、卵も一緒に侵入させてしまうことになりかねません。ベランダは、あくまで「家の中よりはまし」な一時的な保管場所に過ぎないと認識すべきです。もし、ベランダに段ボールを置くのであれば、いくつかの対策を講じると、より安全性が高まります。できるだけ雨に濡れない軒下などに置くこと。地面に直接置くのではなく、すのこなどを敷いて風通しを良くすること。そして、何よりも長期間放置せず、資源ゴミの日に速やかに処分することです。ベランダというワンクッションを置くことで油断せず、そこが新たなリスクの起点になる可能性を常に念頭に置いておく。その注意深さが、家をゴキブリから守るための最後の砦となります。